Loving You ...
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「あっ!」 直接肌を合わせた抱擁は、その感触に互いに驚く。 アリオスは、少女の思った以上にまろやかな肌と柔らかな躰に。 アンジェリークは、男の引き締まった固い筋肉の感触に。 「…いいな」 ポツンと呟きを落としたアリオスは、そのまま、華奢な首筋に唇を落とした。 「あ……」 首筋を味わうかのようにゆっくり辿るアリオスの唇。 長い指は鎖骨の形を愉しんでいる。 と。 ふと、顔を上げた彼の気配に目を開ける。 「そういや、お前に似合う花をつけてやるって言ったよな」 「え?」 フッと微笑ったアリオスは、鎖骨の下辺りに唇をつけた。 ピリッとした小さな痛み。 「え? え? え?」 何をされたかよく分からないアンジェリークが、首を傾げる。 「…よく似合う」 出来栄えを確かめたアリオスが、目を細めて言った。 それが何だか嬉しそうで。 「あ…ありがとう…」 思わずお礼を言ってしまった。 「…クッ。お前、マジで面白い」 肩を震わせ、 「気に入ったなら、もっとつけてやるよ」 と、再び白い肌の上に唇を落とした。 「アリオスっ!」 くんっと反る背。 その白い肌に散る紅い痕。 「ああん…あっ、やっ! だめっぇ」 喘ぎながら首を振る度に、栗色の髪がさらさらと音を立てた。 胸の蕾を舐め、転がし、突き、甘噛みする。 その度に、アンジェリークは甘い悲鳴を上げる。 「クッ…。ホント、敏感だな」 固くなった蕾を銜えたままで囁くと、 「キャッ!」 と、見事に震える肢体を胸で受け止め、既に尽きぬ泉へと差し入れた指を抜き差しさせた。 「あうっ! あ、アリオスっ!」 「ん? なんだ、アンジェ? ここがイイか?」 「ちっ、ちがっ! や! だめっ! ホントにダメぇ!!」 「ダメなんじゃねぇって言っただろ?」 まぶたに軽く口付け目を見開かせる。 「アリオス…」 「…………」 潤んだ青緑の瞳に、たどたどしく自分を呼ぶ声に、そのまま貫きたい欲望が込み上げ、息を詰める。 余裕を装ってはいるが、堪えているのはアリオスの方。 だが、今はそれを抑え、少女の躰を辿り降りた。 「あっ! ああっ!!」 羞恥と狼狽に声を上げるアンジェリークに、もはや容赦なく、アリオスはぐいっと脚を開けさせるとその中心を目に映す。 「みっ、見ちゃだめっ!」 「無理言うなよ」 それは出来ない相談だ。 「だって、やだっ! アリオスっ!! お願いっ!」 涙まじりの懇願。 それでも、これは聞けない。 身を捩って、なんとか避けようとする少女の躰を片手で押さえ。 せめてと閉じようとする脚を肩と手で遮る。 そんな無理強いに、心の何処かで高揚する自らに苦笑しつつ。 「怖がらずに俺に任せろ。いいから、感じるままにイケよ」 そう言うと、その艶やかな花に唇を寄せた。 初々しく震える花弁を軽く銜えて、舌でなぶると 「あああっ!」 甘い悲鳴が簡単に上がった。 増やした指に絡まる蜜が出し入れとともに湿った音を立てる。 「ふあ…あ、あ、あ…」 意味のある言葉は出ずに、苦しげに喘ぐ声が耳に心地よく。 手加減は心得ても本気でイかせるつもりで蠢かせる。 指と。舌を。 固く育った蕾を探り当てると、そっと突っつき撫で上げる。 「ああああっ」 溢れ出る蜜を吸い取り、花弁で遊び、蕾を撫で愛で、その間も休むことなく二本の指を探るように抜きさせる。 「は…う……っく…」 途切れ途切れに息を詰まらせ、予兆の震えが太ももを走った。 ――そろそろいいか…。 ぐっと指を屈して、奥を擦りあげる。 「ああっ! …アリオスっ!」 アンジェリークが一際高く鳴く。 息を詰まらせて、全身を震わせる。 そうしてぐったりと力が抜け落ちた。 ――…これならいいだろう……。 震える花弁の溶け具合に、アリオスは満足して指を抜く。 とろっと溢れた蜜をつっと吸い上げると、もう一度、可愛い蕾にキスをして、躰を起した。 一度イかせたのは与える苦痛を解すため。 もっとも、可愛く乱れる少女にそそられたのも大きな要因だが。 ぐったりと投げ出された肢体を見下ろし、口元に笑みを深めると、枕元の小物入れに手を伸ばして、小さな袋をピッと破った。 「…ん……」 彼の準備が出来た頃に、ようやくアンジェリークが意識を浮かび上がらせた。 ゆっくりと、その小さな体を抱きしめる。 「…いいか、アンジェ?」 今更ダメだと言われても止まることなど出来はしないが、それでも少女の同意が欲しかった。 「…ん」 こくんと頷くアンジェリーク。 自然に笑んで、汗ばむ前髪をかきあげ額にキスを贈る。 「俺に捕まれ」 と、肩を差し出すと、ゆるっと回された細い腕。 「大丈夫だから、な? 力、抜いてろ」 「うん…」 ただただ頷くアンジェリークがたまらなく愛しくて。 想いのままに唇を包むと、そのままゆっくりと小さな躰に覆いかぶさった。 最初は飛び上がるほど熱かった。 その熱さに驚く前に、痺れるような強い圧迫感がもたらされる。 それが怖くて身じろごうとしたが、アリオスの強い腕に阻まれてしまった。 「大丈夫だから力抜いてろ」 励ますようなアリオスの声。そうして降りてくる優しいキス。 それに陶然となったのもつかの間。 激しい灼けるような痛みが躰の中心を襲った。 「! う…くぅ……」 無意識に零れ出る涙。 「アンジェ、アンジェ…」 何度も呼ばれる名前に、答えようとしても声さえ出ない。 「アンジェリーク…」 それでも耳は、アリオスの優しい声を捕らえ、そうして、アンジェリークは悟った。 ――私…アリオスが好きだわ……。 焼けつく痛み。込み上げる圧迫感。 躰は苦痛を訴えるのに、心がそれを悦んでいる。 嬉しい…と。 アリオスから、この痛みを与えられていることが…。 今日会ったばかりの人だとか。 自分はこの人に躰を売っているのだとか。 そんなことがどうでもよくて。 ただ、しがみついた広い背中が愛しくて、回された腕が嬉しくて。 そうして、確かに自分の中にある彼に、心から喜んだ。 「大丈夫か?」 アリオスの声は本当に心配そうだった。 「うん……大丈夫…」 まだそこは、じんじんと痺れて熱く脈打っているけれど。 お腹にある違和感が苦しいけれど。 それが全部アリオスが居てくれる証だから。 そっと降りてきた大きな手が汗を拭って、ほつれた髪を梳いてくれた。 そうして形のよい薄い唇は零れた涙を吸ってくれる。 それだけで癒される。 「…少し、じっとしていような」 目を合わせてそう囁いてくれる。 「うん…。アリオス、ありがとう」 その零れた笑顔に。 思わずアリオスは熱く込み上げた。 繋がったままでじっとしていても、少女の中はよすぎる。 柔らかく包み込まれ、呼吸とともに優しい波が寄せてくる。 その上、こんな笑顔を見せられては…。 「お前なぁ…」 苦笑混じりの声色で、アリオスはアンジェリークを覗き込む。 「煽ってどうするんだ? 困るのはお前だろ?」 「えっ? わ、私、何かいけないことした?」 「…ま、お前が悪いんじゃねぇけどな……」 困ったように呟いて、華奢な躰を腕に抱き込む。 今動くと、自分がどこまでも暴走しそうで、それはアンジェリークに余りに酷だと、ただ、ため息を吐く。 どうやら自分は彼を困らせているらしい。 「アリオス…」 「なんだ?」 と、くもぐった声が、彼が顔を埋めている首筋から聞こえた。 「あ…あのね。アリオスの好きにしていいよ?」 顔を起した彼が真っ直ぐに見つめた。 「どういう意味だ?」 思いがけず、彼の声色が厳しかったので、どぎまぎしながら、なんとか気持ちを言葉に出す。 「あのっ…なんだか、その、アリオス、困ってるみたいで。だから…その…私は大丈夫だから…」 「…クッ。悪い」 途端に笑った彼が嬉しくて、ホッと息をつぐ。 「少し我慢してろ。すぐによくなる」 アンジェリークの精一杯の申し出が嬉しくて。 ここはありがたく受け取る。 その代わりに。 「いや、よくしてやるよ…」 快楽に染めて、痛みなど忘れさせてやる――――。 「ああっ! アリオスっ! アリッ!!」 背をのけ反らせた息を詰まらせたアンジェリークの、晒された咽に吸い付く。 ――さながら、獰猛な肉食獣が獲物に食らいつくかのように。 「イけよ。いっちまえ」 軽く揺さぶりをかけて、イイ個所を擦りあげる。同時に手を伸ばしていた、繋がった場所にある蕾に更なる刺激を与える。 「はあっ! あ、あ、あっ…」 不規則に収縮を繰り返していたそこが、きつく、アリオスを咬む。 「アンジェ…」 アリオスに熱い吐息と共に名を呼ばれ、それが、か細くつなぎ止めていたアンジェリークの意識を吹き飛ばした。 ――アリオス、大好き……。 白い閃光が弾けて霞む意識の中で、ただそれだけを、胸に呟いた――――。 |
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背景素材:Silverry moon light 様 |