永遠の始まり

1


 忘れたことなんかなかった。

 俺の中の、一番明るい、一番輝いている場所に、お前はいる。

 

 

 お前の声が聞こえた気がした。

 慌てて振り返って、もう一度耳をすませたけど、

              ――やっぱりお前はいなかった。

 けれど、何処かにお前を感じて、お前を探して街を駆けた。

 

 

 今日、俺は高校生になる。

 お前はどうなんだろう。

 俺は、お前の年も、名字も知らない。

 知っているのは名前だけ。

 

 入学式の前に、あの教会に行こう。

 お前と別れた、お前と約束した、あの教会。

 あれは俺の学校の中にあるんだ。

 

 

 約束した。

 いつか、

 お話のつづきをしてやる、と。

 必ず迎えにくる、と。

 

 だから…………。

 

 

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