Present for You

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〜〜 epilogue3 〜〜

「こ〜〜ら、アルフォンシア、邪魔しちゃダメ〜〜」
「え〜、邪魔してないよ、手伝ってるんだって」
「そういうのは手伝うとは言わないのっ。画面真っ白にして言う
セリフじゃないでしょ〜」
「だって、白くなっちゃったんだもん。これ印刷するの?」
「白紙印刷してどうするの?」

 その翌日の昼下がりの執務室。
 どうせ今日はアンジェリークは来れない。
 それじゃ、日頃出来ない方面の書類整理をすることにしたレイチェ
ルを、くっついて来たアルフォンシアが(自称)手伝っていた。

 と。
 コンッと一つノックの音。
「あれ、誰か来たよ。僕出るね」
 アルフォンシアが走ってドアを開ける。
 そこには背の高い銀の髪をした男が立っていた。

「ひょぇぇえええええええええーーーー!!!」
 ――どどどどど、どうして、ここにっ! 
 ――アリオスが! いるんだよーーーーー!!!
 今頃はアンジェリークと『昼寝』を貪っていると思ったのに。
 もしくは昼からまた頑張っているか。
 ――そのどちらかじゃないと、イケないのにっ!!!

「おまえ、なんつー声を出してんだよ」
 コンッと軽くアルフォンシアの頭を小突いて、アリオスは
「レイチェル、いるか?」
 と、執務室に入っていった。
  
「あれ、アリオスじゃない、どしたの?」
「あ、いや、昨日連絡よこしただろ? 夕方でいいからアンジェに
こっちに顔を出して欲しいって」
「あ〜? あ、そう言えば、そうだったね」
「? その程度のことか?」
 連絡の目的がアリオスのご機嫌伺いだった、とは言えず、
「えっと、ま、そう。来てくれればいいかな〜、ぐらい」
と誤魔化す。
「…だったら、来なくていいか?」
「無理そう?」
「……ちょっと伝えようがねぇ、っていうか、伝えても来れない」
「あはははは〜」
 レイチェルが大笑いしてアリオスを振り仰ぐ。
「アリオスも相当だるそうね?」
「ま、おかげさまでな」
「気に入って頂いてなにより、で〜す」
 レイチェルがペロッと舌を出してウインク一つ。
「どうせまだアンジェ寝てるんでしょ? アリオス、一緒にお茶
でもどう?」
「あ? そりゃ、別に構わねぇが…」
「ふふ〜ん、特製スタミナティでも入れてあげるよ?」
「そりゃ、ありがたい」
「ほらほら、アルフォンシア、ぼーっと立ってないでアナタも
テーブルにつく」
 レイチェルは、まだ青くなって硬直しているアルフォンシアの肩を
たたき備え付けのキッチンへと消えていった。
「えっと…アリオス…」
 気だるそうにソファに座ったアリオスに、アルフォンシアは
とことこ近づく。
 と。
 くるっとアリオスがこっちを見上げた。
「!!」
 この金の緑の瞳に真正面から見つめられるとドキドキする。
「おい、アルフォンシア」
「えっ!?」
 アリオスは暫くじっとアルフォンシアを見つめていたが、ニヤッ
と笑って指で手招いた。
「次はシースルーで頼むぜ」
「え? なにを?」
「白、黒と来たら次はスケスケだろ?」
「…………………」
「お前がいいって言えば、アンジェ、素直に着そうだからな」
「…………………」
「ってことで、ひとつ頼むぜ」
「…………………」
 ここで「イヤだよ」という選択肢はアルフォンシアには無かった。
「う…分かった…、その、機会をみて…ね」
「ああ、よろしくな」
 にっこりと、それこそ極上の笑みのアリオスに、背筋が凍る思い
をしたアルフォンシアであった。
 ――ううう、アンジェリーク、ごめんなさいっ!!

<Fin>







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背景素材: Silverry moon light 様