マスターナイトのバイロン卿

 

バイロン卿はマスターナイト。
つまりどこかのプリンスであった。
では、どこの?

おそらくはグランベル王国のプリンスであった―。

アズムール王(クルト王子の父)は初めに、シアルフィに縁りの妻を迎えました。
バイロン卿はその王子です。本来はナーガの直系の筈でしたが、神族継承の不思
議さ、バルドの直系として生まれました。
 
※その直前に次期バルドの継承者が何かで亡くなったとか考えたりしています。
グランベル王国の王はナーガの直系が継ぐので、周囲はとてもやきもきしました。
 
※ナーガの直系は次子に期待するとして、将来の事を考えると…。
やがてそのナーガの直系としてバイロン王子に妹姫が生まれました。
 
※バイロン卿2〜3歳位?
これで、グランベルを継ぐべき者も生まれ、また姫であったことで周囲はほっ
としました。アズムール王と王妃、バイロン王子と妹姫。とても幸せな時を過ご
しました。

ところがその妹姫は4つの時に亡くなります。(病気か、事故か?)そのショッ
クで王妃もほどなく嘆き悲しみながら亡くなります。
アズムール王は可愛い盛りの愛娘と最愛の王妃二人を亡くして、ひどく落胆して
しまい、政務を執る気力もなくなってしまいました。
 
※どうも、アズムール王ってお年というだけでなくグランベル王国の王にして
  は生気がない人のように思えるのです。この時から無気力になっていったの
  かもしれません。

アズムール王は王妃を偲んでなかなか再婚はしませんでした。しかし、ナーガを
継ぐものは必要です。そのためアズムール王は次の王妃を迎えました。この王妃
との間に生まれたのがクルト王子です。
 
※だからバイロン卿とクルト王子の年が離れている。8〜10歳位?
つまり、バイロン卿とクルト王子は腹違いの兄弟です。

バイロン王子とクルト王子はとても仲がよい兄弟でした。新しい王妃も心優しい
人で、クルト王子とバイロン王子を分け隔てすることもありませんでした。アズ
ムール王も少しは落ちつき、それなりに穏やかな日々が流れます。

バイロン王子も14歳になり(日本の昔の元服のような)式も迎え、プリンスと
して諸々の訓練、勉強に励みます。(バーハラ士官学校も行ったのかな?)
でも、その頃から、バイロン王子は周囲の視線や、物陰での囁きに気がつきます。

「バイロン王子は確かに優れた王子だが、ナーガの直系ではない」
「この、グランベルを継ぐお方はナーガの直系でなければ」
「アズムール王はどうされるおつもりだろう」

(セリスがそうであるように)ナーガの直系が姫であれば、バイロン王子がその
兄として王位を継ぐのは納得がいったのでしょうけど、ナーガのしるしを持つ者
クルト王子がいますから。

アズムール王も悩んだかも。何しろバイロン王子は亡き王妃の忘れ形見であるの
で、ナーガの直系でないために(長子と生まれながらも)王位につけないのは不
憫に思ったでしょう。
いつかは決断をしなければならないことなのですが、ずるずると延ばしていました。

そしてバイロン王子の方が先に決断をしました。
バイロン王子は周囲の状況を考え、また父王の悩みを思いやって18歳の式(日
本で言う成人式)の前にクルト王子(8〜10歳)とアズムール王に言います。

「この式の前にプリンスの称号をお返しします」

アズムール王もクルト王子も驚きました。
クルト王子にとって、バイロン王子は敬愛する兄です。一緒に色々と遊んだり、
学んだりしました。これからもずっと続くものと思っています。

「兄上、どうして? どっかに行っちゃうの?」
クルト王子が涙を溜めてバイロン王子に言います。
バイロン王子は微笑みながら、まだ幼さの残る弟王子に言います。
「私はどこにもいきませんよ。ずっとクルトを守るためにそばにいます」
「本当に?」
「ええ。本当です。約束しますよ」
やっとクルト王子が笑います。

父アズムール王は衝撃を受けています。自分が延ばし延ばしていたことを、バイ
ロン王子自ら言わせてしまったのです。

「バイロン、本気か?」
「はい、父上。その方がいいと思います」
「……」
「この、グランベル王国はクルトが継ぐべきです。私はクルトを助けてこの国に
 尽くします。…それが私の取るべき道だと思うのです。私がそうしたいのです」
 
こうしてバイロン王子は成人式の直前にプリンスを降りて、シアルフィ家の養子
になりシアルフィ公爵家バイロン公子になりました。
 
※当時の当主は亡き王妃のお兄さんか?その筋にオイフェがいるのかも…。

とは言ってもアズムール王の紛れもない長子。他のグランベルの公爵よりも随分
身分が高かったと思います。扱いも重いものだったでしょう。また、シアルフィ
家に養子に行ったとはいえ、殆ど王宮にいたと思います。
 
※クルト王子が…ね(笑)

さて、一応の決着を見たグランベル王国の継承者ですが、これはこれで噂の的で
した。なにしろ格好のお家騒動の状況です。いえ、兄王子が王家から離れたので
すから、もっと緊張したものに見えたかもしれません。

でも、バイロン卿は自分から望んでこの立場を取りました。それゆえ、妙な陰謀
もどきにも耳を貸さずに、心から父王の為、そして将来のクルト王子の為に働き
ました。そんなバイロン卿の真摯な姿はやがて周囲に認められ、元王子だからと
いうだけでなく、その慎重な行動や思慮深さから信頼を得ていったと思います。
 
※6章のイザーク城でマナナン王(アイラの父)がバイロンを信頼していたと言
  っていたのは、こういう事のような気がします。

クルト王子が長じるに従って、王子とその側近として、二人で力を合わせて政務
を執っていきます。
 
※ヴェルダン、アグストリア諸国との和平とか。
 
ゲームの中でクルト王子がバイロン卿を信頼して重用するので、レプトール、ラ
ンゴバルド卿がいじけた…もとい不満に思ったと言っていました。レプトール、
ランゴバルド卿は、はじめはバイロンにお家騒動などを囁いていたかも。(笑)
でもバイロンに相手にされなくて、手をこまねいている内にマンフロイ等に悪魔
の囁きをされたのかもしれません。
 
やがてバイロンも結婚、シグルドが生まれます。アズムール王も喜んでお祝いを
します。クルト王子もまるで弟が出来たかのように喜んでくれました。
 
※シグルドってレックスやアゼル等よりも若干重用されているというか、特別
  視されているような気がしました。ロードナイトだし(笑) クルト王子とシ
  ギュンとの秘話を話してもらったりするようなところとか…。

 
※シグルドのおとぼけというか、脳天気さってこういう微妙なところから成り
  たっているのではないのか? と思ったりします。アズムール王も5章で
  「あのシグルドが反乱を企てるとはまだ信じられない」と言っていたりしたし。
  (なにしろ孫だ)
  でも、逆にシャナンをかくまっている事で謀反の噂を立てられたのはこうい
  う立場だったからでは? と思っています。
 
やがてシグルドの妹、エスリンが生まれます。エスリンの誕生はバイロン卿、シ
グルドもさりながらアズムール王がとても喜びました。エスリンに4つで亡くな
ったバイロンの妹姫の面影を見たのかも。だから、エスリンもなにかとアズムー
ル王やクルト王子に大切にされて、シアルフィ公女というよりは、半分グランベ
ル皇女のような扱いをされていたかも。そこまでいかなくても、特別視されてい
たような気がします。
 
※エスリン自身は兄曰く「じゃじゃ馬」に育ってしまったけど(笑)

時は流れエスリンはシグルドの友人レンスター王子の元に嫁ぐことになりまし
た。(これは政略結婚ではないと思いますけど(笑))話が決まった時、アズムー
ル王の方が感激し(孫娘の結婚だしね。ディアドラにもでれでれだったし(笑))
槍騎士の国へ嫁ぐエスリンのために、特別に素晴らしい馬を選んで贈ってあげた
――などと想像しています。

この文章はニフティサーブパティオ『言の葉亭』掲載したものを一部書き直ししたものです。